あの一件から、何事もなく平和な日々を過ごしていた。
いつの日からか、昼休みは5人で屋上で過ごすことが日課となりつつあったある日の午後。
平穏だった日常が1本の電話から変わろうとしているとは、誰もが想像しなかった。
花菜は創からの電話を取ると混乱して取り乱し始めた。
「兄貴、花菜が混乱してるから俺が電話変わった。花菜に何言ったの?」
『…あぁ、律か。花菜には会ってほしいやつがいると伝えた』
「……へぇ~、それで?相手は誰なわけ?」
『…相手?そんなの勿論奏大に決まってるだろう?それ以外は認められるわけがない』
「……っ!……わかった。花菜には俺が説得して連れていくから。ただ、兄貴…。俺の隣でめっちゃ睨んでるアンタの婚約者の機嫌とりよろしく!」
そう言うと、律はあかねに携帯を渡した。