「そこまでだ」

「律様!」

「大丈夫か?花菜」

「りっくん」

「どうしてですか?今まで誰も相手にしなかったのに、いきなりその子とスキンシップをとるだなんて」

「そんなの俺にとって花菜が大切な存在だからだ。第一、あんたらの行動は俺にとったら迷惑」

「律様…」

「所詮あんたらは俺の雨宮って名前にしか興味ないわんだろう?だから、目先のことしか考えられない」

「律様、私達は別に…」

「さぁ、どうたかな。現に花菜がこんな危険な目にあってるんだ。言い訳なんかできねーだろ」

「……」








律の言葉に女の子達は反論出来ずに、黙ってしまった。








「雨宮家に喧嘩を売ったんだから、覚悟できてるんだろうな?」

「……」

「りっくん、そんなの駄目。この人達はりっくんの事が好きだからこんな行動に出ちゃったんだよ」

「だからって、花菜を傷つけて良い理由になんかならない」

「でも…」

「俺は自分が大切にしている物を傷つけられんのが一番嫌いなんだよ」

「りっくん…」







律の鋭い目付きに、その場にいた誰もが身震いした。
そして、何処からか騒ぎを聞きつけた野次馬が、いつの間にか教室の前の廊下を埋め尽くしていたのだ。
その状況に、花菜は驚きを隠せないでいた。