「あれ?」
「どうしたの?花菜」
「校門のあの人集りの中心に、りっくんがいるみたいなの」
「律先輩が?!」
「っ!」
「律先輩、どうしたんだろうね?」
「さぁ?」
「……」
3人がそんな話をしていると、律も気付いたようであった。
そして何を思ったのか、律は人集りから抜け出し、近付いて来たのであった。
「りっくん?どうしたの?」
「ん?あぁ、今日は柚に用があって」
「あれ?りっくんと柚ちゃんって知り合いだったの?」
「まぁな。てことで、柚借りてくから」
「ちょっ……律先輩?!」
律はそう言うと、柚姫の手を握ると歩き始めた。
そんな律の行動に驚いた柚姫。
しかし律は、柚姫の声に全く耳を傾けず、そのまま歩き続けてしまった。
取り残された花菜と穂波は状況が飲み込めず、訳がわからないでいた。