「奏大、コーヒー買って来たぞ」
「…あぁ…」
「兄貴…それに淳平くんまで…」
「よっ、律!元気か?」
「みんな揃ってどうしたわけ?てか、仕事は良いわけ?」
「俺、コイツの専属運転手だから問題なし」
「秘書として、副社長に付いているのは当たり前だろう?」
「…奏大くんがいるからいるってわけね…」
「まぁ、それは間違いではないが、可愛い弟のピンチだと言われたら、来るしかないだろう?」
「俺、別に困ってないんだけど…」
創の言葉に、律は苦笑いだった。
しかし、次の奏大の言葉に、律は表情を硬くならざるおえなかった。
「一ノ瀬柚姫」
「えっ?」
「今度お見合いするらしいぞ?」
「…!」
「これは花菜から昨日聞いた情報だから、間違いではない」
「………そう…」
「なぁ、律。お前、このままで良いのかよ?」
「兄貴…仕方ないじゃん。柚には片思いをしてる先輩がいるっていうんだし、ましてやお見合いだろ?俺が出て行ったところで、何も変わらない」
「律、それじゃぁお前の気持ちはどうなるんだよ?」
「元々叶わない恋だったんだ。仕方がない」
「仕方がないって……」
そんな風に言う律に、奏大達3人は何だかもどかしかった。