クリスマスということで、街中はカップルで溢れていた。
勿論、律や柚姫も例外ではなく、2人の姿は周囲の視線を集めていた。









「ねぇ、ねぇ。あの人格好良くない?」

「わかる!モデルさんか何かかな?」








そう言った声があちらこちらから聞こえて来ていた。
勿論、それは本人にも聞こえているわけで、律は次第に眉間に皺を寄せていた。









「律先輩、大丈夫ですか?」

「ん?」

「眉間に皺が寄ってますよ?」

「……あぁ、それは…男共が柚のことをチラチラ見てるから…」

「えっ?男の人?女の人じゃなくて?」

「あぁ。女の視線なら普段から慣れてるし、それを気にしない術を持ってる。だけど…柚姫に向けられている男の視線は許せない」

「そんなことないですよ。律先輩の思い過ごしです」

「………」








柚姫は全く気付いていないようだが、先程から柚姫のことをチラチラと盗み見る男の視線があり、敏感な律は直ぐに気付いていた。
本人は柚姫への思いを封印したようであるが、柚姫を好きなことには変わらない。
そんな律が男達からの視線に耐えきれなくなり、いつの間にか眉間に皺を寄せていたのであった。