律が自分の思いを封印してしまってからというもの、律と柚姫の関係はあの時から止まったままであった。
柚姫はあの日以降、変わらない律の態度に、最初は戸惑っていたものの、今ではあのキスの一件が無かったかのように過ごしていた。
そして季節は移り変わり、もう12月になっていた。
「律先輩、こんにちは」
あの日から変わらず、2人は第二保健室で過ごしていた。
「柚、どうした?」
「…何でですか?」
「何だかいつもと雰囲気が違う。だから何かあったのかと思って…」
「……そうなんですね。多分、疲れているだけだと思うので、大丈夫ですよ。ありがとうございます、律先輩。やっぱり律先輩は優しいですね」
「そんなことねーよ。……あっ、なぁ、柚。お前、25日って何か予定あるか?」
「25日ですか?…クリスマスですよね?」
「あぁ…」
「良いんですか?私なんかと過ごして…」
「?俺は柚と過ごしたいんだけど?」
「律先輩…」
「で?どうするわけ?」
「25日、空いてます」
「じゃぁ決まり!」
律は柚姫の返事を聞いて、僅かな変化であったが、嬉しそうに微笑んでいた。