「あっ!さっき、階段から落ちそうになった時に、隼大先輩が助けてくれたんです」

「階段から落ちそうになった!?」

「はい」

「大丈夫だったのか?」

「この通り、怪我もしてません。あの時、隼大先輩が通りかからなければ、きっと怪我を……」








柚姫が最後まで喋る前に、律は思わず抱き締めた。
律の行動の意味が分からず、柚姫は戸惑っていた。









「律先輩?」

「さっきから隼大、隼大って煩い」

「えぇっ!?」

「何、柚はアイツに助けられて嬉しかったの?」

「いえ…そういう訳じゃ……」

「アイツにこんな風に抱き締められたわけ?」

「律先輩?」








律の言うことに何と答えていいのか分からず、柚姫は混乱していた。


何故律がこんなにも怒っているのか想像がつかず、今の会話の何処で律を怒らせてしまったのか、柚姫は分からないでいた。