「……柚はさ、西條コーポレーションって知らない?」

「あっ、ホテルやブライダル、それから洋服など幅広くやってる会社ですよね?」

「うん、そうだよ。隼大の苗字は知ってる?」

「…いえ…」

「隼大は西條隼大って言って、西條家の四男なんだよ」

「そうなんですか!だから、隼大先輩は『俺も律並みに有名人だと思ったんだけど』って言ってたんですね」

「…何、アイツ柚にそんなこと言ったの?」

「はい…」

「あのバカ…」

「律先輩、私隼大先輩に悪いこと言っちゃいましたかね?」

「何で?」

「隼大先輩のことを私、全く知らなかったので…」

「いや、寧ろその逆だと思うけど?アイツも噂話なんかに惑わされずに、色眼鏡なく見てくれた方が喜ぶタイプの人間だからな」

「…さっき、隼大先輩にも同じことを言われました」

「なら気にするな。それと、隼大とあった時には普通に接してやって?まぁ、柚なら言わなくても大丈夫だとは思うけど、アイツも西條家の四男ってことで嫌な思いをしてるからさ…」

「わかりました」








柚姫はにっこりと笑ってそう答えた。