そんなことを考えながら歩いていると、前から柚姫が歩いてくるのが見えた。
「あ…」
「こんにちは。…隼大先輩ですよね?」
「あぁ…。でも、よく俺の名前知ってるね」
「律先輩のお友達ですから」
「…律のお友達ね…」
「あれ?違いましたか?」
「違くない。…俺も律並みに有名人だと思ったんだけどな~…」
「す、すみません。私、そういうのに疎くて…。前に律先輩にも言われたんですけど…どうもそういう噂話には縁がなくて…」
「いや、気にしないで。寧ろ、噂話なんかに惑わされずに、色眼鏡なく俺たち自身を見てくれた方が、律も俺も嬉しいから」
「そうですか…」
「それより、お姫様は今からアイツの所に行くんでしょ?」
「はい。あ…でも、お姫様って?」
「あぁ、律が君のことを名前で呼ぶなって怒ったから、名前で呼べないんだよね。だからお姫様」
「そうなんですか…」
何だか余り納得をしていない柚姫だったが、隼大はそのまま気付かない振りをして話を続けた。