落ち着きを取り戻した隼大は、気を取り直して、律に問い掛けた。
「悪い…。それでどうしたんだよ?」
「……待ち合わせ時間よりも早く待ち合わせ場所に向かった…」
「は?」
「だから、待ち合わせ時間よりも早く待ち合わせ場所に向かった」
「いやいや、2回言わなくても分かるから…。てか、何その豹変ぶり…」
「さぁ?自分自身が驚いている。気付いたら、駅にいた」
「うわー…信じられねー…」
隼大は信じられないといった表情を崩さず、律のことを見た。
そんな隼大の視線に、律は面倒臭そうに溜め息をついた。
「仕方ないだろう?考えるよりも先に体が勝手に動いてるんだから…」
「まぁ、それだけお姫様が特別な存在なんだろう?自然に人並みに近付いているだなんて、良い傾向じゃないか」
「……何だそれ……」
「今の律の方が人間らしくって良いってことだよ」
「…人間らしい?」
「そう。感情を覚えたロボットみた……っ」
隼大は全てを言い終える前に、床に蹲ってしまった。