駅の改札前まで来ると、柚姫は繋いでいた手を離した。
「律先輩、ありがとうございました」
「……じゃぁ、また明日10時にここで」
「でも…」
「でもじゃない。柚は気にしすぎ。…それとも、迷惑?」
「いえ……」
「なら、もうそれ以上言わない」
「…わかりました…」
柚姫はそう言ったものの、あまり納得をしていないようであったが、律はそんな柚姫の表情に気付いていながらも何も言わなかった。
「じゃぁ、もう行きますね」
「あぁ…」
「また明日」
そう言うと、柚姫は改札の中に入って行った。
律はというと、柚姫が見えなくなるまで見送ると、自分の家へと引き返した。