それから2人の特訓はお昼過ぎまで続いたのであった。
「よし、今日はここまでにしよう。そんなに焦ってやるものじゃないし、もうお昼だ。柚もお腹空いただろう?」
「良いんですか?」
「あぁ。てか、俺がもう限界。柚は疲れてないの?」
「……父の稽古は厳しくて、酷い時には10時間ぶっ通しでやることもあるので……」
「何それ…そんなんじゃ上達するものもしないし、嫌になっちゃうじゃん」
「でも、私の覚えが悪いのがいけないので…」
「そんなことない。だって、柚は今日教えたことちゃんと覚えただろう?焦らずに頑張ろう?俺が柚姫に、お茶の楽しみを教えてやるから」
「ありがとうございます」
そう言った柚姫の表情はとても嬉しそうで、律は思わず柚姫のことを抱きしめていた。
いきなりの律の行動に、柚姫は驚いていた。
「り、律先輩!?」
「………」
「あ、あの~…」
「…よし、お昼にしよう」
「はい」
律が何故抱きしめたのか、柚姫には分からなかったが、問いただすことはせず、律に着いて行き、リビングへと向かった。
リビングに着くと、律は柚姫をソファーに座らせ、自分はキッチンの方へと歩いて行った。
カウンターキッチンになっており、柚姫がいる位置からもキッチンの様子が見えた。