「律先輩…何時から待っていたんですか?」
「………さぁな」
「人…いっぱいでしたが、大丈夫でしたか?」
「まぁ、最悪。でも、コレのお陰で話し掛けられずには済んだけど」
律の言うコレとは、サングラスに帽子。
何だか怖い雰囲気に周囲の女の子達は声を掛けられずにいたが、オーラからイケメンだということが分かるのか、いつの間にか人集りが出来ており、遠くから写メを撮っている者まで現れ出したのであった。
普段であれば、律もこうなることを恐れ、大抵は集合時間よりも遅く行くのであるが、何故だか今日は違っていた。
それは律自身が驚いていた。
何故なら、昨日待ち合わせ時間を決めた時までは、何時ものように遅れて行くつもりであった。
しかし、いざ今朝になると、予定していた時間よりも早く支度をし、家を出ていたのであった。
律も無意識のうちに行動していたようで、自分自身が驚いているのであった。
「ほら、いつまでもここにいるわけにはいかないから、もう行くぞ」
「あ、ちょっと待ってください!」
柚姫は慌てて律のことを追いかけた。
それから2人は、話をしながら律の家へと向かった。