「お前にとって妹ちゃんは大切な存在だろう?」
「当たり前だ」
「じゃぁ、あかねは?」
「あかね?…まぁ、小さい頃から一緒にいるし、兄貴の婚約者だし、家族みたいなもんだな」
「じゃぁ、他の律信者の女達は?」
「すげー、迷惑な存在。近づいてくるだけで、拒否反応を起こす」
「だろう?じゃぁ、その柚姫ちゃんって子は律にとって何なの?」
「柚?……側に居て安心する存在。花菜やあかねに対する思いとはちょっと違う感じがするっていうのは分かるけど、それが一体何なのかは分からない」
「それって…ほぼ答えだと俺は思うんだけどな…。まぁ、律の側に居て安心する存在っていうのが、特別な存在ってヤツなんじゃねーの?」
「………」
「無自覚って怖いね~。まぁ、前にも言ったけど、俺は良い傾向だと思うし、お前の場合は自分で気付かなきゃ意味がない。たくさん悩め!」
「他人事だと思って…」
律は隼大の言葉に溜め息をついた。
そんな律の悩んでいる姿を見た隼大は、嬉しそうに笑って見守っていた。
「まぁ、とりあえず特別って意味は理解できただろう?」
「…あぁ…」
「なら良いじゃないか。また何か分からないことがあれば相談に乗るからさ」
そう言うと、隼大は律の肩を叩いた。
「さて、そろそろ終業式が始まるから行くか」
「あぁ…」
2人は屋上を後にすると、体育館へと移動した。
どうやら屋上で話をしている間に、既に式が始まっていたようで、2人はバレないようにそっと体育館へ入って行った。