「それで話というのが…」
「一ノ瀬流家元の娘さんの稽古だろう?」
「!…知っていたのか…」
「あぁ…。今日、柚から聞いた」
「…そうか…。もし、お前が嫌なら…」
「別にいいけど?」
「……今、何て言った?」
「別に俺はいいけど?」
「珍しいな。てっきりお前なら断るかと思ったんだがな…」
「柚なら別にいい。これが他のヤツなら、断ってる」
「そうか…。一ノ瀬さんの娘さんは、お前にとって特別な存在なんだな」
「特別?」
「違うのか?この前から、お前を見てると今までとは違う行動をしているかてっきりそうなんだと思っていたんだが…」
「………」
律は宗助に言われ、考え込んだ。
その表情は、眉間に皺が寄っており、そんな律姿に、宗助は苦笑いだった。
「無自覚か…。まぁ、良いじゃないか、ゆっくり結論を出せばいい」
「………」
「それじゃぁ話は終わりだ。先方には連絡をしておくから……」
「いや、俺が柚に連絡をしておく」
「……そうか。じゃぁ、頼んだぞ」
「あぁ」
そう言うと、律は自分の部屋に行った。