そして、終業式を翌日に控えた日の放課後。
律は何時ものように、柚姫と一緒に第二保健室で過ごしていた。









「律先輩、お見舞いに行かなくて良いんですか?」

「ん?…あぁ、もう花菜も目を覚ましたし、昨日も行ったから大丈夫。それに、明日には退院だから」

「そうなんですね。でも、終業式の日に退院だなんて、ちょっと複雑ですね…」

「………」

「あっ、夏休みといえば、律先輩はどうするんですか?」

「んー…まだ何も。きっと家元に着いて色々回るとは思うけど…」

「実は…うちの父が律先輩のお父様に、厄介なことをお願いしてしまったみたいなんです…」

「厄介なこと?」

「…はい……」








柚姫は深刻そうな表情で律の顔を見上げた。









「実は昨日の夜、雨宮流の家元に頼んだらしいんです。いくら稽古しても私が上達しなくて、父には手に負えないから律先輩にお願いできないかって……」

「………」

「嫌ですよね…。こんな無理なことをお願いしちゃって、本当にすみません。私の方から父には断りをい…」

「別にいいけど?」

「…えっ?」








柚姫は律の返答に驚きを隠せなかった。