それから1限の終わりのチャイムが鳴り響き、2人はそれぞれの教室に帰った。
律が教室に行くと、隼大が近寄ってきた。
「律、どこ行ってたんだよ?靴はあるのに、本人がいないからびっくりしたし、メールしたんだぞ?」
「……悪い。気付かなかった」
「ったく…心配しただろ?」
隼大はそう言うと、律の頭を突っついた。
「なぁ、律は知ってたのか?」
「…何が?」
「律の妹の婚約者がうちの兄貴だって」
「あぁ」
「お前、何で教えてくれねーんだよ…」
「いや、気付いたの最近だったし、まぁ、お前もそのうち気付くかと…」
「あの奏兄が自分のことをベラベラ喋るわけないだろう?」
「…まぁ、確かに」
「だろう?でもまさか、律と親戚関係になるなんてな~…。これって運命ってやつじゃね?」
「………」
律は隼大の発言に、何も答えなかった。
それどころか、隼大に冷たい視線を送っていたのであった。