「どうぞ」

「ありがとう」

「いいえ」

「……そう言えば、あれからクラスはどうだ?」

「クラスは居心地が良くなってはきましたが、やっぱりまだちょっと怖いです。いつまた同じような状況に逆戻りするんじゃないかって不安で…。あっ、でも前よりはクラスメイト達も私の声を聞いてくれるようになりました!」

「そうか…。まぁ、少しずつ今の環境に慣れていけばいい。それに、柚の居場所はここにもあるから、安心してここに来ればいい」

「…律先輩、ありがとうございます」

「俺には、柚の居場所を作ってやることしかできないから」

「そんなことないですよ。律先輩には本当に感謝しきれないくらい、助けられているんです」

「…そっか」








律はそう言うと、何も話さなくなってしまった。
それから2人の間には、特に会話はなく、穏やかな雰囲気が流れていた。
その雰囲気は嫌なものではなく、律も柚姫も居心地の良い環境だった。