「流石に1限までサボるわけにはいかないから、そろそろ行くか」
「はい。あっ…律先輩。また来ても良いですか?」
「あぁ」
「ありがとうございます」
「柚姫」
「何ですか?」
「…携帯」
「?」
柚姫は律の言っている意味が理解出来ず、首を傾けていた。
「ここに来るには鍵が必要だってこと忘れたのか?お前はどうやってここへ来るつもりだったんだ?」
「あっ……」
律に言われて初めて気付いた柚姫。
急いでポケットから携帯電話を取り出した。
柚姫の携帯電話を取り上げると、律は柚姫の携帯番号を登録した。
「ありがとうございます」
「あぁ」
「連絡しますね」
そう言った柚姫の表情はとても嬉しそうであり、律も口角が少し上がっていた。
それから2人はそっと廊下へ出て、それぞれの教室へと戻ったのであった。