「あっ!そう言えば、律先輩は何でここの鍵を持っていたんですか?」
「ん?あぁ、貰ったんだよ」
「貰った?」
「そう。ここの保健医から」
「へっ?」
「意外だった?あの人は色々協力してくれるんだよ」
「…そうなんですね」
「だから困ったことがあったら、保健室においで。後で俺から話しておくから」
「はい」
柚姫は律の言葉が嬉しくなり、微笑んだ。
「律先輩は凄いです」
「何が?」
「こんな私に、変わらない態度で接してくれるから…」
「どういう意味だ?」
「2回目に助けて頂いた時のこと覚えてますか?」
「ん?あぁ…」
「私、何故だかクラスメイトの女の子達から見覚えのないことで責められているんです。私は何もしていないのに、彼氏を取られたって…。少しお話しをしただけでそんなことを言われてしまうんです」
「………」
「次第に周りの男の子達もそういう目で見るようになり、私の言葉を誰も信じてくれなくなりました。だから、私はいつも人から逃げるようになったんです。だけど、律先輩はこんな私にも普通に接してくれる。それがとても嬉しいんです」
「柚姫…」
律は柚姫の言葉に、胸が締め付けられるような思いでいっばいだった。
そんな律に対して、柚姫は笑顔であった。
不思議に思った律は、柚姫の名前を呼んだ。