ひとりで帰ろうとしたら、遥陽が「帰ろうぜ」と教室前で待ち伏せしていたのか、誘ってきた。


 ……久し振りだなぁ一緒に帰るの。遥陽、また背伸びてない?身長差何センチなんだろ。





「なあ」


「ん?」




 突然話しかけられたと思ったら、ポンポンと頭を撫でられた。


 なっ、何してんの!?遥陽。




「強がんなよな。泣きたくなったらいつでも泣けよ?」




 優しく言ってくれた遥陽の声が、じーんと胸に響く。


 遥陽の大きな手のひらが、私に温もりをくれる。





「ありがと」




 私は微笑んで、遥陽に言った。


 私は、ひとりじゃない。そう思えたから、大丈夫。



 遥陽がいてくれるから―――。





「私、光雅高校【コウガコウコウ】受けるんだ」


「え、そこって一番遠くて偏差値も少し高めのとこじゃん」