「茜なんて…大嫌いっ」




 苺綺はそう言い残し、教室を出ていった。


 夏海たちもすれ違いざま私を睨んで、苺綺を追うように教室をあとにした。




 ……なんでよ。


 なんで私がこんな目に合わなくちゃいけないの?



 木本朱里が私のこと好きなんて、さっき告白されて初めてわかったのに…。




 嘲笑う?…そんなこと、できない。たとえ知ってたとしても、しないよ。


 私は純粋に、苺綺を応援してたのに…。





 私は拳をギュッと強く握り締める。




 友達じゃなかったのかな。

 
 こんな些細なことで壊れるような絆だったなら、…友情なんて呼ばないんじゃないのかな。




 一方的に嫌われて、私は言いたいことも言えずに「大嫌い」って言われて。






「……っ」




 涙をグッとこらえた。泣いたって、何も変わらない。

 自分が惨めに見えちゃうだけだ。