「でっ、でも振ったから!」



「だから?」



「え…?」




 今まで聞いたことないような低い声で、苺綺が言った。


 『だから?』



 ……だから、……あたしは苺綺を応援し続けるよ……。





「やめてよ。……あたしが木本くんのこと好きって知ってて…、ずっと嘲笑ってたんじゃないの?
 叶わない恋なのに可哀想、って思ってたんじゃないの!?」



「そんなこと…っ!」




 思ってるはずないじゃん!


 大声で反論したかった。



 けど、教室にいたクラスメイトが苺綺の大きな声を聞いて、私たちの方をジロジロと目を向ける。





「何かあったのかな?」


「三角関係らしいよ」


「新川さんが笹道さんの好きな人奪った…みたいな感じのこと話してたけど……」




 コソコソと話す周りの声が、耳に入る。




 私はずっと、苺綺を心から応援してたよ……。

 苺綺と木本朱里が両思いになればいいなって本当に思ってたよ……。



 どうして信じてくれないの?