でも、残念ながら…その予想は大幅に外れてしまった。
「………んだ」
風の音が木本朱里の言葉を消し、声がよく聞こえない。
だけど、口の動きでだいたいわかってしまった。
木本朱里が、私に用がある理由。
だけど私は、その理由を信じたくなくて「ごめん、聞こえなかった」と嘘をついた。
「……好きなんだ」
……あぁ、聞こえてしまった。はっきりと。
また強い風が吹けばいいのに。そうすれば聞こえなかったフリができたのに。
どうして木本朱里に告られているのが、苺綺じゃなく私なの?
「なんで……。同じクラスにもなかったことないのに」
「たまに見かけるんだ、新川のこと。自分のことより友達のことを優先して、いつでも笑顔で、どんなことにも一生懸命で。そんなところ見てたら、自然と好きになってたんだ」
どうして苺綺じゃなく私を見たの?苺綺を見てよ。
そうすれば、両思いだったのに……。