…チラ。
「?」
あれ。
さっき…木本朱里と目が合ったような…。
気のせい…かな。
気のせいじゃなかったら、「場所教えてくれてありがとう」を目で伝えようとした的な?
…まさかね。私そんな目だけで言葉がわかる能力なんて持ってないし。
うん。気のせいだったんだよ。そうだそうだ。
「あ、…じゃあ私らは先帰ってるね。
苺綺は木本くんにでも送ってもらいなっ」
夏海が苺綺に気を利かせて、そう言った。
苺綺が口パクで「ありがとう」と伝えている。
「じゃあね、苺綺!」
「うん。バイバイ」
私は大きく苺綺に手を振って、苺綺と別れた。
まさかあのまま告ったりして!
そんでそんで付き合ったりなんかしちゃって!?
…そうなればいいなぁ。
思わずにやける願いを胸に、私は先を歩く夏海たちの隣へ駆け足で向かった。