生徒玄関に着き、私の隣に木本朱里がいることに皆驚いていた。
口をパクパクさせ、「え?」って顔で私と木本朱里を見る。
「苺綺、木本くんが忘れ物届けに来てくれたよ」
私は苺綺に言いながら、前へ歩く。
さすがにもう隣にはいられない。
だって、そこは将来苺綺の場所になるつもりでいるから。
「このキーホルダー、笹道のだろ?」
「あ…うん!わざわざありがとう。でも明日でもよかったのに」
「この前の委員会の時、このキーホルダーのこと俺に『友達がプレゼントしてくれた』って言ってたから、大事なものだと思って」
木本朱里は、苺綺の持っているくまのキーホルダーを見て微笑みながら言う。
…そのキーホルダー、確か去年の苺綺の誕生日に緋衣があげたやつじゃなかったっけ?
そのときすごく喜んでたような…。
よかったね、苺綺。
そんな大事なものが、大切な人の手で届けられて。
木本朱里と苺綺を見てると、初々しいカップルを見ているようで微笑ましい。
まあ実際苺綺の片思いだから、もどかしいけどね。