……木本朱里だった。



 苺綺が「木本くんが好き」と言った次の日、私は木本朱里が気になって顔を見に行った。


 遥陽と同じクラスだったので、遥陽に木本朱里が誰か教えてもらった。


 確かに顔はかっこよかったけど、どうも好きな人が美化されちゃって遥陽以上にかっこいいとは思えなかったんだよねぇ。




 で、……どうして木本朱里がここに?




「苺綺なら…玄関だけど」


「そうか。…じゃあこれ、渡してくれないか?」



 そう言って差し出されたのは、苺綺の筆箱についていたキーホルダー。



「落としたらしくて」



 あー…なるほど。

 わざわざ届けに来てくれたのか。



 優しいねぇ。ふーん。苺綺の言ってたとおりじゃん。





「それなら自分で渡してくれない?」


「は?なんで?」



「苺綺のためにっ」




 微笑みながら言うと、木本朱里はなぜかギクシャクし始めた。


 どうしたんだろ。




「わ、わかった…」


「じゃあ、玄関にレッツゴー」




 そして私と木本朱里は、一緒に玄関へ行った。