私が中学二年の頃――
私には、四人親友に近い友達がいた。
遠塚 夏海【トオヅカ ナツミ】と、笹道 苺綺【ササミチ イチカ】と、宮元 緋衣【ミヤモト ヒイ】と、綿野 未羽【ワタノ ミウ】。
いつも五人で行動し、休み時間はくだらない話をして、休日にはよく遊びに出かけた。
そんな、夏も過ぎたある日の放課後。
いつも通り五人に帰っている途中、苺綺が言ったんだ。
「あのね、…あたし隣のクラスの木本くんが好きなの」
胸元まである黒髪をゆるく巻いている可愛らしい苺綺。
隣のクラスの木本…?
誰だっけ??
男子は遥陽しか覚えていなかった…というか、あんまり関わっていないので覚えていない私は、そんなことを思いながら苺綺を見る。
「木本って、木本 朱里【キモト シュリ】!?」
「野球部の部長じゃん」
「苺綺面食いだったっけ?木本くんってめっちゃイケメンじゃんっ」
…皆、その人のこと知ってるんだ。
へぇ…イケメンねぇ。
遥陽のことが好きだから、遥陽以外の男子興味ないからわかんないや。