「観覧車に乗ったとき、『好きな人への気持ちを忘れるために、その友達と付き合ってる女子がいる』って言ったの覚えてる?」




 利用するために付き合ってる…っていう噂か。


 俺は首を縦に動かし、覚えてることを表した。





「そのカップルが――茜と矢崎くんなの」





 え……?


 今、七倉はなんて言った…?





「茜は、眞田くんへの気持ちを忘れるために、矢崎くんと付き合ってるの」





 突きつけられた真実。


 俺は理解し難かった。





「さっきも言ったとおり本人には聞いてない。だけどわかるの。あたしも恋してるから。……茜と同じ人が、好きだから」




 間接的な告白をされているが、俺には全く聞こえていなかった。


 茜が要と付き合ってるのは、……俺のことが好きだから?





「茜は優しいから……あたしの恋を応援しようとして、矢崎くんと付き合うことを決めたんだと思う」





 茜と俺は、両思いだったってことか…?


 心臓が、ドックンドックン…と響く。




 ……意味がわからない。どういうことだよ。

 いきなり明かされた関係に、俺は受け止められず、戸惑っていた。