私の足は自然と動いていた。



 ありがとう、と伝えるように私は矢崎を抱きしめていた。





 こんなに安心するのも

 太陽みたいに温かいのも

 彼の手が優しいのも

 ずっと隣にいたいと思うのも

 胸の中がポカポカするのも

 彼の言葉で涙するのも



 全部全部、想いの違いを物語ってた。








 遥陽への想いは、幼馴染の延長戦。



 ずっと遥陽の隣は私だったから、いつの間にか、幼馴染の好きが恋の好きだと勘違いしてた。


 遥陽の“幼馴染”として隣にいることが当たり前で、近すぎて気づかなかった。


 この想いが、幼馴染としての好きだって。



 結月が遥陽といると嫉妬してたのは、多分、幼馴染の場所を奪われたくなかったから。




 ずっと幼馴染の好きを好きな人に対する好きだと勘違いしていたから、矢崎への想いの正体にも気づかなかった。






 遥陽には感じなかった気持ちが、矢崎には感じていたのに気づかなかった私は、大バカだ。