結月にも遥陽にも矢崎にも、最低なことをしてる。


 それはわかってる。



 だけど―――






「…新川……?」





 矢崎はいつだって、私を受け止めてくれた。


 私の最低なところを知っても、好きだと言ってくれた。




 振り返ると、そこには息を荒くした矢崎がいた。





「や、ざ…き」




 どうして追ってきたの?


 そう聞きたかったけど、口が思うように動かない。




 私は一歩退いて、矢崎の名前を声に出した。






「いきなり逃げんなよな。まじ焦った…」




 はぁーと長く息を吐いて、矢崎はしゃがみこんだ。