「わかんない……わかんないよ………っ」
「? どうかしたか?新川」
好きだよ。遥陽のこと好きだよ。
でも、矢崎のことが好きって気持ちの方が大きいと思ってた。
今日デートして、……そう思えたのに。
確信に近い気持ちでいたのに。
ギュッと爪が食い込みそうなくらい強く拳を握り締める。
私は矢崎の顔を見つめた。
「…どうした?」
眉を下げた心配した表情をしてる矢崎。
こんなにも私のことを想っているのに、今頭の中には遥陽の顔しか浮かばない。
私は耐え切れなくなって、そこから逃げ出した。
「――茜!!」
茜と呼んでくれた矢崎を、私は無視して走った。