遥陽の優しさよりも、ずっと…心に染みてくる。


 それはきっと、たったひとりの“彼女”に対しての想いが含まれているから。





「何頼むのか決めてんの?」



「ここのいちごタルトが美味しいって友達が言ってたからそれにする。矢崎は?」



「んー……無難にチョコケーキかな」



「美味しかったら味見させてね」





 矢崎は「そう言って半分食べるんだろ」と柔らかい笑みをこぼしながら言った。


 …え?




「なんで、そう思うの?」



 私、矢崎から何か味見したことあったっけ…?

 結月とならあるけど。



 矢崎の言うとおり、味見させてって言っときながら半分くらい食べちゃう。



 けど、どうしてそれを矢崎が知ってるの…?




 矢崎は疑問を抱く私を見て、かぁ…!と頬を赤く染めた。


 え、何その反応。






「……前に言ったろ?
 ――ずっと見てたって」






 口元を手で隠すように覆いながら、恥ずかしそうに矢崎はそう言った。