「……つまんなかった?」



 黙ったまま水槽に手をついて見ていた私に、矢崎は不安そうな顔で聞いてきた。


 ホントバカだよね、矢崎。





「そんなわけないじゃん。すごく楽しい」




 ここに来てよかった。矢崎の隣にいられてよかった。


 矢崎がいるから、こんなにも楽しいのかな…?




「そっか。よかった」




 私が満面の笑みを見せると、矢崎も明るい笑顔を返してくれた。






「あっち見に行こ」



「おう」




 私はクラゲがいるところを指差して、矢崎に言った。





 ねぇ矢崎……。あんたは、楽しい?


 つまんなくない?



 私はね、矢崎が楽しんでくれればそれでいいんだ。