「……どうして、みんなそんな顔するの?……あたしに彼氏が出来るの、そんなにおかしい?」

「……相手が相手だからじゃん。みんな、心配してんだよ。……ストーカーまがいの男と付き合うなんて…」


優花は立ったままギュッとスカートの裾を掴むと、唇を噛み締めた。


「……なんで泣きそうなわけ?泣きてぇのはこっちなんだけど」


優しく訊きたいはずなのに、そう言う俺の口調は少しキツくなってしまう。


「……どうせ、成宮と付き合うことになるんなら、あん時助けなきゃよかったんじゃん、俺。……バッカみてぇ」


そんなこと言うつもりなんてなかったのに、口が勝手に口走る。

イライラしてんのを、優花にぶつけるのなんてマジ、最低…。


わかっていても、一度吐いてしまうと止まんなかった。


「……迷惑なら、迷惑って言って。優花が俺のこと迷惑って思ってんなら、もう優花に構わない。……俺のことウザいからずっと、そうやって避けてんだろ?嫌ならはっきり言えば?遠回しにそんなことされんのが、一番ムカつく…」


俺は立ち上がって優花を睨みつけた。


何にムカついてんのかわかんなかった。


成宮にムカついてんの?

俺を避けて成宮と付き合う優花?

優花を自分のものにできないこと?


イライラしすぎて、何が答えなのかわかんない。


だから、今、目の前にいる優花に当たってる。


すると、優花はキリッと俺を見上げるとその潤んだ瞳ではっきり言った。


「………もう……

……あたしに、構わないで……」


イライラしすぎて気持ちが麻痺してんのかな…不思議とあまり痛みは感じなかった。

でも、あとで優花言いすぎてしまったことを後悔することは容易に想像できる。