好きな人がいない頃の私は

いつも引っ込み型で勝負なんて出来ないからって諦めていた。

だけど今は、自分よりも大切な存在がいる。

そんな人がいるのに諦めたくない。


「無理かもしれないけど頑張ってみる」

涙が出そうな目をぐっとこらえて

力強い目をすると未来ちゃんは


「何でも協力するから!」

そう言って励ましてくれた。

とにかく頑張るんだ……!


授業が終わり教室に戻ると

宮野くんはすぐにこっちにやって来た。


「さっきどうしたの?

体調悪いとか?」


「ううん、そうじゃないの……っ」


”勝負までの間は公平にあんまり翔に近付かないで”


横山さんの言葉を思い出す。