「ごめ……っ」


だって、こんなに人通りの多い所じゃ

恥ずかしかったから。

泣きそうになりながらも宮野くんを見ると

彼は冷たい顔をして床に落ちていたバンソ―コ―を拾った。


あ……、それ私の。

さっき宮野くんを押し返した時に落ちたんだ。

私も屈んで彼からそれを受け取ろうとしたら


ガコンー

そのバンソ―コ―の箱は私の手に戻ってくることなく

少し離れたゴミ箱に放り込まれた。


「宮野くん……、それ」


「帰る」


方手で投げいれた彼は私の事を見ることなく

先に帰ってしまう。