だけど……

やっぱりその見た目も全然横山さんに勝てるようなものではなかった。


「おお、こっちはシンプルなのな」


うう、もう泣きそうだよ……っ。


宮野くんは箸で卵焼きをつまむ。

あの日から散々作ったのに、結局また焦がしてしまった卵焼きは当然のように


「苦っ」


美味しく出来てはいなかった。

もくもくと食べる宮野くん。

きっと私が作ったって言ってるから両方とも食べてくれてるんだ。

もし言ってなかったら、こっちはもういらないって言われちゃうよね。


「あの……」


聞くのが嫌だ。

別れるのも本当に嫌だ。


だけど、横山さんは見てるから……