男の子はブランコを立ち乗りで

漕ぎ始めた。


そして、前を見ながら言った。


「いつも、ここ寄るんすか?」


そう。私は毎日ここに寄る。

何故なら此処は、小さい頃、

いや、生まれて家に来てから

お父さんとお母さんと毎日来ていたと

いう公園。思い出の公園だから。


その話は、お母さんから

8歳の誕生日の日に話された。


桜がヒラヒラと舞い散る午前の公園で。


それも、お父さんが亡くなってからも、

お母さんが亡くなる日まで毎日来てたからだ。



お母さんはこの公園で倒れた。

救急車を待った。


お父さんは仕事帰りに

この公園の近くで交通事故にあった。