桜が少し散り始めた4月上旬。
先日美容室で切ってもらった少しパッツン気味な前髪とゆる巻きパーマを整えながら、真新しい黒いスーツに身を包み私は部屋の全身鏡の前に立ちつくしていた。
今日は大学の入学式だ。
「……村下夢乃(ムラシタ ユメノ)です。…もっと笑顔じゃないと友達できないかも」
両手を頬にあて、鏡に写っている自分のぎこちない"笑顔"に愕然としていると
「…ふっ」
噴き出すような低い男の人の声が背後から聞こえた。
後ろを振り返ると、同じく黒いスーツに身を包んだ幼なじみの優弥が、開いていた部屋のドアから口に手を当て笑いを堪えるようにして私を見ていた。
「優弥!いるなら声かけてよ!」
ぎこちない"笑顔"で鏡に向かって挨拶していたのを見られて恥ずかしくなり少し怒鳴る。
先日美容室で切ってもらった少しパッツン気味な前髪とゆる巻きパーマを整えながら、真新しい黒いスーツに身を包み私は部屋の全身鏡の前に立ちつくしていた。
今日は大学の入学式だ。
「……村下夢乃(ムラシタ ユメノ)です。…もっと笑顔じゃないと友達できないかも」
両手を頬にあて、鏡に写っている自分のぎこちない"笑顔"に愕然としていると
「…ふっ」
噴き出すような低い男の人の声が背後から聞こえた。
後ろを振り返ると、同じく黒いスーツに身を包んだ幼なじみの優弥が、開いていた部屋のドアから口に手を当て笑いを堪えるようにして私を見ていた。
「優弥!いるなら声かけてよ!」
ぎこちない"笑顔"で鏡に向かって挨拶していたのを見られて恥ずかしくなり少し怒鳴る。