「あの患者さんの状態が安定するまで、季蛍さんは我慢しようと心に決めてた。
蒼の邪魔はしたくない、って言って。
でも、あまりにも酷くなるばかりで、俺と高島、あと蒼のお兄さんは季蛍さんの体調不良を知ってる。」
「え………」
「蒼にはあの患者さんに集中してほしいと思ったから、私のことを心配して、患者さんに何かあったらいけないから。
だから、蒼じゃない他の医者を頼った。
俺や、高島や、蒼のお兄さんを。」
「……………季蛍」
「だから、決して蒼を頼りにしなかった訳じゃない。
頼りにできなかった。したくても。」
「………」
「季蛍さんのことは、怒らないであげて?
悪いこと、何もしてない。
季蛍さん言ってた。
“私は、蒼のことが好きだから”
って。」
「…………………………」