季蛍が俺から顔を背けた。 ハァーッとため息をついた俺は、季蛍が逃げられないように左腕を季蛍のお腹に手を回す。 そして、右手で、背後から、首もとに指を当てた。 季蛍は、どうにか逃げようともがく。 でも、俺の腕で体を押さえられている季蛍は、逃げられない。 「季蛍ッ!!暴れるな!計れないだろ?」 「だって…」 俺の左腕に、涙が落ちた感触がした。 「季蛍…。ちょっとじっとしてて」 左腕に、腕時計をしているので、みることが出来ないため、壁掛け時計の秒針と、脈を合わせる。