「愛優ー…病院行くってばぁ~」







「嫌だ!!」








「……はぁ…」
















38度5分、の熱を出した愛優は、病院へ行かない、とさっきからねばっている。




聞けば、学校にいた時から怠かったらしく、つまりまた我慢していた、というわけ。








愛優も、両親医者ながら、病院は嫌いだし、
怠くても、我慢するし。









変なところを私に似た、ということ。











運良く仕事が休みだった私は、買い物から帰って、部屋でグッタリしている愛優を見つけたのだ。

















「愛優、熱高いから病院行かなきゃ。」







「………嫌!!!!」










「あーやーさー………」









「……………」






「……愛優、」









「………」





いつの間にか寝息をたてはじめた愛優。








「……寝たし………………………」








「…………電話するか」





熱も計らしてくれないので、とりあえず蒼に連絡することにした。






プルルル プルルル







「…はい?」







「あ、蒼?」





「…季蛍、どうした?」







「……蒼、あとどれぐらいで帰る?」







「………んー…今日は遅くなるかもな…



何かあった?」





「…あ、いや、私じゃなくて、愛優。
38度5分熱出たんだけど、病院行かないって言うの。

今は、寝てるんだけど…。」









「………38度5分…ね、



…じゃあ、病院連れてこれる?

迎えに行こっか。」







「あ、じゃあ今連れて行くね。
待ってて」







「わかった、俺の診察室にきて」









「わかった」









電話をきり、愛優を抱えて、車に乗せた。







数分、車を走らせて、病院の駐車場にとめる。







すると、病院の入り口から蒼がでてきてくれた。








車の後ろのドアをあけ、蒼が、愛優の額に手をあてる。






「…………季蛍、怠くない?」









愛優の額に手を当てながらも、私の顔色を伺う蒼。








「え?大丈夫だよ。今は愛優みてあげて」









「………………んー。うん……」









グッタリする愛優を、蒼が抱えて、病院の中へ入っていった。











診察室に、愛優を寝かせた蒼は、ボタンをはずして、体温計を入れた。





「……………季蛍も熱計って」




蒼は、白衣のポケットから、体温計をだして、私に渡す。








「…え、なんで?大丈夫」









「それは計ってから。」









「………………大丈夫!!」







ピピピピ ピピピピ







「…。」




蒼は、愛優の体温計をとって、表示を見ると、私の方に来て、私の額に手を当てた。








「計れ」







「嫌だ」








「なんで?」







「具合悪くないからだよ?」








「………だけど計って」








「嫌だ!!」