「ごめんなさいね。私情、挟んじゃって」

「いえ」

「え~っと、私とパパと息子の琉生がここに住んでるの。パパは単身赴任だから会う事はないかな~。琉生のことは知ってるよね?」

「はい」

 

ちらりと隣に座る彼を見るとにこりと微笑まれた。

知ってるもなにも私の学校でいう有名人的存在。

知らない方が珍しいと言ってもいいくらいだ。

 

「それはよかったぁ~。私、パートで家にいないこと多いと思うから、そういうときは琉生になんでも聞いてね」

「はい……」

 

要するに、私は彼と二人きりになることが多いと……

それだけで、胸が早なる。

だって、あのあのあの、学校の王子様だよ!

 

「琉生。家の中案内してあげて。結愛ちゃん、自分の家だと思ってくつろいでいいからね?」

「ありがとうございます」

 

お礼を言うとすぐさま、相沢くんが「行こうか」と微笑みかけて、誘導する。