「ここよね?」


 
渡された地図を片手に、たどり着いた先はよくあるような一軒家。

 
表札の「相沢」という文字が間違いないことをなにより物語っている。

 


ピンーポンーー

 


チャイムを鳴らすも不在なのか誰も出なくて……

念のためもう一度、鳴らしてみる。

 


ピンーポンーー


 

「…なんだ…よ……」

 

他の音にかき消されてあまりハッキリと言葉は聞こえてこなかったが、とりあえずドアが開いた。



「え?」

「あっ……」

 

予想外のことにお互い目をパチクリさせる。

3秒ぐらい硬直していただろうか。

 

意識を取り戻したか否や、背後からポンをと肩を叩かれた。



「あら~。結愛ちゃん、もう来てたの?ほら、上がって。上がって」

 

ニコリとほほ笑むと、彼女は私を中へと引き連れたのだった。