~悠木~

ありさの言葉に悲しみを感じた

「死んじゃえばいいんだよ」

なんで、そんなこと言うんだよ
なんで自分をそんなに否定するんだよ

「ありさ……今から俺の話を聞いてくれる?」

いきなりそんなこと言われて戸惑っているありさ
でも……

「うん」

と言った。その言葉を合図に俺は話した
自分の病気のことを

「おれ……ALSなんだ…筋萎縮性側索硬化症って正確には言う」

ありさは言葉が見つからないらしい
なにも言わずにうつむいている
俺は話を続けた

「身体の筋肉がだんだん痩せて力が弱くなり脳から身体に「動かす」指令を伝える「運動ニューロン」の障害で、指令が身体に伝わらないことで筋肉が痩せていく。まぁ簡単に言うと動かなくなっちゃうんだ」

「それって死なないよね?なおるんだよね?」

「脚の筋肉が弱まると歩けなくもなり、のどや呼吸に関わる筋肉が弱まってくると、声が出せない、食べ物・飲み物が飲み込めない、呼吸ができないと命に関わる病気」

「嘘でしょ……?でも、治るんでしょ?ね?」

「一度発症すると症状が無くなったり、軽くなったりすることはない。しかも進行するスピードが早くて二年から5年の間に俺いなくなっちゃうの」

ありさはなんと言っていいのかわからなくなってる
口を開けたまま青ざめている

「なーんちゃって!嘘だよ」

ありさに申し訳なくなり冗談ですませようとした
でも、ありさは

「ごめんなさい……死にたいなんて言わない!死んじゃえばいいんだよなんて言わない!だから二人で……二人で頑張ろう」

っと言い俺を抱き締めてくれたんだ
俺よりちっこいその体で力強く抱き締めてくれたんだ