「ん?どうした?」
少し驚いたようにそう言う薫に、由佳は呟いた。
「何か面白い話して。」
「何だその無茶振り。」
薫はそう言って笑った。
そんなことを言いながらも、由佳の無茶振りに応えてくれる薫は、実は優しかったりするのかもしれない、と由佳は思った。
何だかんだで、薫は由佳のことを助けてくれる唯一の人間だ。
薫のくだらない話を聞きながら、由佳は目を閉じた。
正直話の内容はどうでも良かった。
ほとんど由佳の頭には内容なんて入っていなかった。
ただ薫が電話の向こうで話してくれている事実が安心できた。
由佳は次第に眠気がやってきている感じがした。
そしていつの間にか、薫の話を話半分に聞きながら、眠りに落ちていた。