「何やってんの、気持ち悪い。」
そう言う礼子の瞳は、とても冷たかった。
「…ごめんなさい。」
由佳は咄嗟に謝った。
優しく受け入れてくれるなど期待もしていなかったが、礼子の瞳はあまりにも冷たく、由佳は自分がしたことが間違いだったと思った。
「何考えてるのか知らないけど、お母さんに触らないで。」
そう言って礼子は、由佳が抱き着いた部分を、手で払う仕草をした。
そして礼子は由佳を睨み付けると、冷たく言い放った。
「あんたなんか、生まなきゃ良かった。」
由佳はその場で立ち尽くした。
母親の発したその言葉は、由佳の耳にこびり付いて、何度も何度も繰り返し再生された。
――― あんたなんか、生まなきゃよかった。