全てが図星だった。

最近由佳は眠れていない。
やっとの思いで眠れたとしても、いつも悪夢にうなされて起きてしまう。


「まぁ、今日はちょっとは休めただろ。」


薫のその一言に、由佳はハッとした。


「もしかして、今日私を起こさなかった理由って…それ?」

「さーて、帰るか。」


さっきまでの真剣な表情とは打って変わって、とぼけたような呑気な顔で薫はそう言うと、「行くぞ。」と歩き出した。


何なんだ、こいつは。
無神経そうに見えて、色々見られてたんだ――…。

そして私、こいつの優しさを知らず知らずのうちに受けていたんだ――…。


「…しくしないで。」

「ん?」


「私に優しくしないで!!」


由佳はきつい口調でそう言った。