「ねぇ、いつまでついてくるわけ?」
「え、お前の家まで。」
さぞ当たり前のようにそう答える薫に、由佳は大きくため息をついた。
「ねぇ、あんたは一体何がしたいの?何か企んでるの?」
「別に?怪我してる奴を家まで送って行って何が悪いんだ?」
「正直に言いなよ。私をハメようとしてるんでしょ?」
訝しげにそう言う由佳のおでこを、薫はピンと指で弾いた。
「痛っ。何する…」
「俺がやりたいと思ったからこうしてるんだ。悪いかよ。」
由佳の言葉を遮ってそう言った薫の顔はいつになく真剣で、由佳は思わず言葉を詰まらせた。
「お前、最近ちゃんと眠れてないだろ。」
薫は由佳の目をじっと見つめてそう言った。
薫の顔はとても真剣で、そしてとても綺麗で、由佳は直視できずに目をそらした。
「そんなことないよ…。」
「嘘つくなよ。俺の目見て同じこと言ってみろよ。」
「……。」